「あけましておめでとうー、という訳で今日は半兵衛特製歌留多で遊ぶよー」
「・・・・・・お前、そんな暇あったんだな」
「ふふふ、夜も寝ずに昼寝して作ったんだよ」
「そしてその時膝枕を提供していたのがおれです」
「官兵衛、お前は今年こそ、こいつにいいように利用されてることに気付け」
「何を言うんですか秀吉殿。半兵衛殿の穢れのない瞳を見てくださいよ。人を利用しようとしてるだなんて、考える方がお馬鹿ですよ」
「お前、遠回りするどころか近道して俺を罵ってるな?」
「じゃあ並べるねー」
(しばしの沈黙)
「おい半兵衛」
「なーに?」
「これは何だ? このぐるぐるもやもやした絵は」
「想像力を掻き立てる子どもらしい無邪気さに溢れた絵だよー」
「想像力より推理力が必要みてーだなあ。なんだこの黒い綿ボコリ。首つってらーアハハー」
「秀吉殿、これの何処がもやもやした絵なんですか。色使いがはっきりしてるし、基本丸三角四角の簡素な絵だから歌留多には持って来いですよ。実に分かりやすい。公明正大明朗快活」
「半兵衛・・・・・・官兵衛に何か変な術かけたろ・・・・・・お前ならやりかねん」
「やだなー、私はいい子だからそんな事しないよー」
「三十路前の妻子持ちの男がいい子だから~とか言うか!! 言うのか!?」
「じゃあさっそく始めるよー、犬も歩けば棒に当たる~」
「はい。」
「さっきの黒い綿ボコリは犬か。そして縄が棒なのか」
「ふふふ、そんなんじゃ保育士さんにはなれませんよ秀吉殿」
「なるつもりはないんだがなあ。てか保育士への登竜門が半兵衛って、それはもうほぼ絶望的だよなあ」
「次行くよー。花より団子」
「はい。」
「すげーなあー。虹の色の団子なぞ初めて見たぞ。かもされてるなこりゃ」
「官兵衛大好きー」
「はい。」
「ほー、この紫色のクマが官兵衛かー。まあ間違ってないことも無いなー」
「犬だよう」
「半兵衛殿に官兵衛殿、それに兄上も、今日は随分と生き生きしていますねえ」
「はっはっは、今年も退屈することはなさそうだな」
「ええ、楽しい年になりそうです」
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